■2008/10/17(金)
≪ Vol.925
学園祭の頃らしい、 昔し、 俺が呼ばれた一ツ橋大学の学園祭、 その頃沓掛紳也はそこの学生だった。
俺の講演があって学生等が主催する麻雀大会を見学、 俺が呼ばれた大学の中で悪いけど、 一番ずる賢い、汚らしい麻雀を打っていたことを思い出す。 知能が優秀だからこそ、そこに脳主導の打ち筋が残るのか、 個性を越えた「我」が強い麻雀を見たような気持ちが残る。 「俺が」、「自分がが」という自己表現、意志が強くなければ、 その場に登り切らなかったのかも知れない。
あれから何年経ったことだろう。 くっつーも社会人になっても池袋の先から、 下北道場を通り越して、 町田の巣に通って来る。
向上心や頑張ることには優れているくっつー。 幼少の頃から誰でも通り、競う学問の道では、 彼の頑張りが才能となって浮き上がる。 それほどの者が何ゆえに苦労や困難を乗り越えて、 道場に通い続けて来るんだろう。 彼が10数年競い勝った分野は道場では全くの評価点に加わらない。 それどころか彼の持つ努力や才能が否定されることすらあるほどなのに、 仕事を終えて夜遅く顔を出しちゃ、最終電車で家路に着く。 一銭にもならないどころか、 彼にも大きな負担がかかっている。 食とか切り詰めてしのいでいる。
「道場に来ないなら、もっと楽な仕事をしてますよ」
と述べていたことがある。 幼少の頃から楽しみを犠牲にしてまでも、学問に励み、 将来は楽な場が待っているはずだった。 くっつーの現状は、 学問を身につける以外の違った苦労をこなしている。
昔し、 伊豆の岩場の海の先の70〜80m先に小舟が浮かんでいた。 20〜30名いた道場生等に、 「あの船まで行って戻って来い」 競争である。 先頭切って沓掛が飛び込む姿が目につく。 動きが早い、早過ぎる。 ノーブレストで、がむしゃらに泳ぎ出す。 岩場で危うさを感じる俺と同時に10m進んで、 くっつーの動きが止まり海の中へ、 泳げないことも、助けも求めない沓掛を救いあげる。 あくる年からは彼は泳ぎを習って海に現れる。 学問はともかく、 彼にも出来ないことや苦手だったり弱い部分もある。 それにぶつかると口惜しそうに涙をして、 修正して、それを再び乗り越えて来る。
雀鬼会本戦も彼の優れた頭脳だけでは、 何度、何年も挑戦し続けてきたが、 何時も一歩届かずのJrクラス。 努力は人一倍惜しまぬくっつーだが、 後輩に追い抜き、追い越されていったが、 今期の選抜は存在力、努力が実力以上の評価とされ、 沓掛も念願の選抜の席の一つに座っている。 やっとこ登れた選抜の席だが、 俺はくっつーにも色々と学ばしてもらったし、 多くのものを頂いてきた。
俺の人生、
「上から習わずして、下から学ぶ」
ずーっとそうだったんだよ。
雀鬼
[写真:925]
Vol.904の歌田さんに続いて、 今回は沓掛紳也さんが、会長に書いて頂きました。 沓掛さんはほぼ毎日、仕事が終わると、あの小田急の満員電車に乗って来て、 最終電車でまた池袋に帰っていきます。誰にも真似出来ないすごい根性です。 沓掛紳也さんと自分は同期で、文中の一ツ橋大学のご講演には、 自分もお付きで行かせて頂きましたが、もう10年以上も前のことになります。 会長が沓掛さんで丸々一本HPに書かれる、 嬉しいですし、ありがたいです。
写真は海のくっつー、昔は溺れていても、 今や会長より海評価A`を頂くまでになりました。 (ジーコ)
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