■2008/08/20(水)
≪ Vol.855
ノック、金子等が台所に立って朝食を作っている。一番若い元郎も、もくもくと動いている。家に居れば、何もやらなくとも済むが別荘じゃそうもいかない。ノックなんか、俺からダメ出しをくいながらも、今は俺好みの味を作れるようになっている。庭先ではせみが、暑いね、暑いよと、鳴いている。チャッペとジーコがこれから向かう海用の支度を整えている。テーブルに座って、茶を頂いている俺だが、こうやってあっちこっちで何かの目標に向かって動いている姿を見ているのが好きだ。誰も自分のことだけやってればで、いいなんて通らない。互いが互いのために、動くだけ。そして新人達も少しずつ皆んなのために、動くことを自然に身につける。外へ出る。「チャッペ今日は暑いね。」「いい天気です。」「この暑さじゃ外はムリ、涼しくなるまで家にいよう(笑)」
東京ならそれもいいが、伊豆では、暑ければ暑いほど海が近づいて来る。
[写真:855]
昨日は、岩場の海から深場の砂地を、沖へ向かって泳いでいった。
ノックとチャッペがついて来る。海面からも砂地に身をかくす魚や砂地に全身をかくして、目だけを出して獲物を狙う魚が見えるが、まだまだ、生きるための生態をノックやチャッペには、全く見えないらしい。
けもの道があるように、魚の道も、海の中にあり、その魚道を目も止まらぬ早さで、エイとか平目が泳ぎ抜ける。
「見えた。」「見えました。」
その早さに身を合わしてさぁーと潜って一匹だけ突いてみる。
冷やしちゃいけないといわれた身体の痛みも、久し忘れられている。
俺に連れられて遠出へついて来たノックとチャッペが今年初めての新人元郎を連れて、沖合まで冒険に出て行った。
出来ない、無理だと思っていたことを、彼等だけで、挑戦している。
岩場で彼等の安全を思い点になった彼等をじっと目で追っている。
点としか見えないが、三人で互いが注意しながら泳いでいるのが分かる。
一時間経ってもう戻って来いよと思っていたが、知らせる手段がない。
波に流されながらやっとこ戻って来た。冷やした身体がふるえている。
「雨がふるぞ!!」
誰も信じない。一分も経たずに、豪雨が落ちてくる。
岩場の近くの露天風呂に皆して避難。自然がおりなす、あっという間の変化をあったかい湯の中で感じとる。
海も一気に荒れ人を近づけない。湯から出た頃に、地平線に虹が出ていた。
雀鬼
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