■2007/06/13(水)
≪ Vol.492
行けるのか?行って帰って来られるのか?
半々の旅だった。行く前に見たこともない海外保険加入書をじっと見たり、常夏の国で一人入院も有りかまで考える。自宅から車で成田まで行けるのかが第一関門。どうにかクリアしたが成田からグアムまでのファーストビジネスクラスの機内では、一気に寒さがやってきて準備したありったけの服を着る。セーター二枚、トレーナー二枚の上に厚手の毛布まで借りて七枚の冬状態。
グアムへ着陸の際は気圧の変化で耳をやられ頭痛も重なる。もう無理帰ろうかと思っていた俺だが、気付いたら南国の熱い日差しの中美しく温かい海に抱かれていた。
海達がお帰りなさいと声を掛けてくれる。
「ヨーあんた、都会ではあっちこっちボロボロに身体を痛め弱っちゃたらしいねえ。俺達が遊んであげるから楽しみな。」
と迎えてくれる。
正直来るまでは体調は最悪だし、天候も雨期と言うことで、夢も希望も失い掛けていたんだが、昨日までの雨模様がピタリと止まって帰るまで暖かい太陽と温かい美しい海が俺の心を逆転してくれた。
一日目はホテルの前のビーチで少々潜ったり魚を追って楽しく遊ぶ。体調は良くなかったけど、二日目はのんびりゆったりしてられない俺だから冒険心が出てきてしまう。
49フィートのビッククルーザーを確保して、運転までしながら海の上を走る。二階建ての2ベッド2ダイニングルーム付きのクルーザーに太陽と海。行く先も、求めるものも体調を忘れて、鮫一本にしぼる。
なじみのキャプテンは承知だが、始めて会った日本人案内人の井口優君は、鮫オンリーの注文に面食らう。
「会長、鮫を見ちゃって逃げる人は多いですが、鮫を追いかけ遊びたいという注文は初めてですよ。」
と若い笑顔を返してくるが、優君もすぐに仕事を忘れて我々仲間に溶け込んでくる(笑)。
[写真:492a]
ダイバーしか近づかない珊瑚の切れ目が、一気に深海となるポイントから冒険が始まる。そこは何百種類もの熱帯の魚が何時でも見られるが、俺の目は鮫だけを探す。
ナポレオンフィッシュや亀という1mを超す獲物が見られるが、それを楽しむ仲間達と離れて、1m50cmくらいの鮫を見つけ浅場に追うと、パラオの離島で生まれ育ったというアレンという名の現地人と、二人して呼吸を合わせて鮫を二人が泳ぐ間に挟み込み、しばし二人と一匹でランナーウェイを楽しむ。
誰も居ない静かで大自然しかない美しい海の中での鮫と俺との共有共鳴遊びがすぐに始まっていた。
体調は良くなかったが気分は最高の時となり、近場の島で昼食、一人ご満足の飯はうまかった。その島も何度も行った。それなりの大きさの鮫も出てくれるし。小魚と遊ぶ鮫が、ぷいと横を向いた瞬間、俺の頭三個もある魚肉の固まりを一口で食ってしまい、彼等の食欲の凄まじさに圧倒されたこともある。
昼食後、三匹くらいは見れるだろうと浅場から海へ入ると、なんと彼等が目の前、足の下に10匹ほど泳いでいる。我々一行より数が多い。
いや嬉しいね。人様はどうだかわからんが、鮫がこんなに身近で歓迎してくれるとは、と、楽しんでいたら、今までにないほどの鮫が一気に集まってきた。その数50匹はくだらない。太陽の日差しが差し込む。白砂の浅瀬までまさに鮫のスクランブル状態。一行の一人ぐらい食われちまったのかと、辺りを確認するほどの異常状態が起きている。鮫にぶつかる、鮫に食いつかれることがあっても少しも不思議じゃない(笑)。
鮫ですら、俺の体調を気遣い楽しませるためにやって来てくれている。どんな病院や薬より俺にとってはありがたい。久しく時も忘れて鮫の水族館の中で楽しみ、島をバックに皆して浅瀬の白砂の上に座って肩まで美しくも温かい海に浸かっている。
「幸せだよなー、なんて幸せなんだよ俺達は」
と何度も叫んでいる。
世界一でっかい露天風呂それも鮫付き、こんな幸せ誰しもが味わえないだろう。何十年と海へと潜った俺でもこんな素晴らしい体験は始めてのこと。体調は最悪だったが、それ以上の幸せをその時、その場が作り出してくれていた。何故か知らんがあまり幸せ過ぎて、その幸せを分けてあげたい。
道場に残る海男の花岡編集長の顔が浮かぶ。安田なんちゅう男は、海とも鮫とも共有出来ないが、花岡となら二人して、この凄まじい、これ以上ない幸せを伴に出来たのにね。花岡を無理してでも連れてきてやれればよかった、と残念がる側等で、世界一でっかい露天風呂に浸かる仲間の宇佐美も山田英樹も俺と同行が多い数こそ、この瞬間の喜びや嬉しさを感じ取り合え、二人伴これ以上ない幸せな顔して何時までも何時までも露天風呂から出ようとしなかった。
チャッペも鬱病まっしぐらの清川もライターの神山さんも恐がったり分からない部分もあろうが、最高な体験をしていることだけは確実だった。
花岡久し振りのHP長文になってゴメンネ。それ以上にお前を連れていかなかった俺を許してね。
雀鬼
[写真:492]
ありがとうございます。やっぱパラオの海は青さが違いますね!ところで、清川〜全然泳いでる写真がないじゃん〜(T_T)花岡正明
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