■2006/02/21(火)
≪ Vol.46
10日ぶりに飯らしい飯を食えた。こんな事で嬉しくなって、側にいた娘と女房に
「ありがとう。ありがとう」
と、しっかりした声を掛ける。
「良かった。良かったね」
と、返ってくる。
たった一食、それも、決してご馳走でもなければ大好物でもない。極一般的な食事を取っただけなのに、食事を出来た喜び、一食のありがたさを感じて久しぶりにホームページ用の原稿を、今、お茶を飲みながら書いている。
10日間、スープ以外は柔らかい食べ物でも小さく砕いて騙し騙し食べ、どうにか体力を保っていた。が、そんな食事の取り方では、気分がすぐれる訳は無いし、腹や心から湧き出る気力や根性なんか出る方がおかしい。心強さや腹を据えた姿を無くし、消していた事は自分が一番分かっていた。
木津くん、安田、一食ってこんなに大切な事なんだよな。
お前たちは日々食の食べ方の間違いや正しい取り方をみんなに訴えていて、自ら一食一食を選択して食の改善をしていたよな。俺はそれを見たって「俺は俺」みたいに食っていた。もちろん、決してお二人さんに逆らっていたり、反抗したんじゃないよ。正しい事に対しては少しの疑問も無かったんだ。それなのによー。俺も食改善の勉強会に参加させるにゃ、どーすべーかと企んだ末に、海外旅行のチャンスを待って二人は実行に移したんだよな。
海外に行く前にヒーラマンが安田と共に現れて陰謀を計った事を感じた。俺はヒーラマンを倒したつもりだったが、知らぬ間に毒を盛られたのかその後俺は食を取れない立場、病院の流動食状態。多分こうでもしなけりゃ
「会長は言う事を分からないし、聞かめぇ」
と、二人の一致した決断だったんだ。俺は麻雀だって読めるぐらいだから二人の企みぐらい読めるって。
どうもおかしいと思っていたんだ。海外に同行した安田は食事のときいつになく俺の側に座り、メニューを勝手に決めちゃ、
「会長、このスープがいいですよ」
とか、優しい振りをしていたが、スープを差し出す奴の手の平の中に、小さな瓶からパラパラと何か毒物を入れているのは、しかと見ていたもんね。安田光秀に……それも運命。どうせやるなら武士の情け、一気にやってくれればいいもんの
この10日間、特に海外じゃ機内の気圧の変化や廃車扱いのボロ車で、悪道を早朝から晩まで長時間移動。その上、熱射が差し込む。
「そんな楽はさせないよ」
という地獄的手段、手の込んだ責め苦。それも表面上は、俺を愛している、思っている振りをしながら行動を一つ一つやるのだから、たいしたもんだよ、ということは敵ながら認める。君等を敵にしてしまった俺が悪かった。ゴメンナサイ。この次は、どうせやるなら一気にやってやって下さい。そこんとこ、よろしく。
それにしても安田光秀はたいした男だった。さすが雀鬼会選抜チャンプを取った男だ。南の島だ、ヂンベエザメだ、それもヂンベエザメのスクランブル交差点状態で、
「さぞや、会長も大喜びでしょう」
と、散々、俺の好み所、狙い所を知った上で、俺を、海外まで引きずり出しての犯行だったもんだから、国際的だよな。手の込んだ事をやるねえ、君は。いや、決して恨み辛みがあるわけじゃ御座いませんよ!そこまで見事にやられちゃ、やったことに賞賛、いや、スタンディングオベーションものですってことです。
しかし、俺もしぶといねえ、全くよ。何か書いてるうちに楽しくなっちまってるよ。
ところでさあ、俺、どこの国の何ていう島に行ったんだっけ?
知ったこっちゃねえや。
雀鬼
[写真:46]
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