■2006/02/15(水)
 Vol.42
「歯が痛えんだよ」
と、来る飛行機の中から会長は言っていた。会長はこっちに来ても歯が痛くて、堅い物が食べられず困っていた。夜もそれほど眠れないと言っていたので、昨夜、睡眠と歯の炎症と痛みを抑えるホメオパシーを飲んでもらった。
ホメオパシーというのは、薬の名前。例えば熱が出たときに、あえてもっと熱の出る極微量の毒を飲み、身体がそれに反応して、自分で免疫を作り熱を抑える。これによって耐性が出き、自然治癒力をアップさせ、次に同じ病気にかかりにくくなるというもの。西洋医学の対処療法に対して、ホメオバシーは同種療法と呼ばれている。その全てが自然界から取れた成分の物で、抗生物質のような副作用もない。
今回の旅行には、このホメオバシーのセットを救急箱として持ってきていた。乗り物酔いのホメオバシーもあって、そのお陰か、あれだけ船や飛行機に長時間乗っているのに今回は誰一人として船酔いをしていない。
ホメオバシーには、時によって薬が効いたとき一時的に症状が悪化する「好転反応」が出るときがある。これは薬が効いている証拠なので、暫くすると症状も治まる。この「好転反応」が出たとき、「ヒットした」と言う。
さて、会長にホメオバシーを飲んでいただいた翌朝、僕の部屋に電話があった。呼ばれて言ってみると、会長の顔面が大きく腫れていて、目も良く見えない様子。
「どうしたんですか?」
「ジンベエ鮫に逢えなかったから、みんなに殴られた」

と、会長は膨れた顔で軽るーく冗談を飛ばした。
「眠れました? 」
「効きゃしねえよ、あんな薬。ったく、お前は俺で人体実験しやがって…そんな事しなくても、俺は自分で直せるのによ」

どうやら眠れるホメオバシーは効かなかったようだが、歯の炎症と痛みを抑える方は、完全にヒットしたようだ。その好転反応で顔面が腫れているらしい。歯の治療の時の雑菌が、顔に回っていたのだろうか。一応、この腫れを抑えるホメオバシーを飲んで貰ってから様子を見て出発することにした。
暫くして無事、腫れも治まってきて海に出た。今日は近場の海に船を出して、のんびりした感じ。大した冒険が無くても、やはり海にいると気持ちがいい。
やがて、会長がガイドさんと色々話をして、こう言った。
「よし、明日はその海亀を見に行こう。決定」
明日は最終日なので、のんびり過ごす予定であったが、会長の一言で再び早朝出発で、海亀を見に行く事になった。今回撮影で来ている僕としても、ジンベエ鮫の映像が撮れなかったので、この案は願ったり叶ったりだ。
「ジンベエの次は、海亀のスクランブル交差点ですね、会長」
「うるさいよ、馬鹿野郎」

こうして、急遽、決まった海亀ウオッチング。僕ら一行は珊瑚の上を泳ぐ、青海亀に逢えるのだろうか?亀仙人と呼ばれる会長の写真で、
「ああ、ついに海亀に出逢えた!!!!!(涙)」
なんて、昨日のジンベエの様なベタな落ちが、また待っているのではないか?読者の不安と僕らの期待を最大限に拡げつつ、明日の早起きのため、今日も僕らは床に付く。
お疲れっす…zz(_ _)zzz
安田潤司
[写真:042]

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