■2006/10/28(土)
 Vol.289
実はソフトボールと重なったその日、長男坊が孫と俺との楽しめる一日を作りたくてか、前々からディズニーシー&ディズニーランドへの一泊二日の予定を入れ込んでいて、早朝に我が家へ迎えに来ていたんだ。
家族と道場生のはざまの中に心が揺れる(笑)が、悪いけんど俺、グランドで皆んなが待ってるからお前達先に行け、俺はソフトが終わったら駆けつけると約束してしまった。
まだ日本にディズニーランドがない頃、小学低学年だった長男坊ととうに亡くなったお袋様を連れて、重たいビデオカメラにバカでかいバッテリーを担いで、本場のアメリカのディズニーランドには20数年前に行ったことがある。
そのお返しの想い出を作りたい長男坊の気持ちも分かるが、今さら、コンクリートに囲まれた人工的な遊び場、楽し場には全く俺の中に興味がないし、今の俺の体調は確実にコンクリートを嫌がっている。愛する家族のためよと思っていても、俺ん中じゃ、憂鬱の方が数倍も増大する。
我が家の子供達が幼かった頃は数回連れて行ったことがあるが、ここ10年誘われても誘われても俺は行くことがなかった。が、今回ばかしは行くしかないところまで、女房と子供と孫に追い込まれてしまった。
それすら知らない道場生にグランド上で、
「俺、今からディズニーシーに行って来んから」
と述べると、エッ?という顔を皆している。そうなんだ。俺にとっても「エッ?」なんだよ。
ということで心配する皆んなを残して、俺一人戦地に向かう。
「生きて帰るぞと勇ましく(笑)」
なんてことは決してない行く先には、俺にとっちゃたまらん、憂鬱の二日間が待っている。
朝から始まったソフトボールは三時に終了。一時間余りで、馬鹿でっかいディズニーシーに隣接するコンクリートのホテルへ着く。長い廊下を通ってホテルの部屋へ。すでに足に痛みが戻って来ている。
窓辺から、人気アトラクションのゴンドラに多くの人達が並んでいる。1時間待ちか2時間待ちの疲れ切った人々の姿を真下に眺めながら、この部屋から一歩も出るものかと心に誓うが、俺の到着を知って、場内から家族が楽しそうに登場。
「お父さん、孫と遊んでやって下さい」
と、俺の弱いところをつかれる。少し前に誓った俺の禁はいとも簡単に破られ、外へ連れ出される。
人工的に作られた建物と、ど真ん中に備えられた水辺を中心に、遠回りしながらコンクリートの道を歩む。一歩歩めば一つ痛みが増す。歯は食いしばんなかったけど、外は天候に恵まれているのに体中に寒気を感じる。
昼間は孫を中心に遊んだらしい長男夫婦から、お父さんの為にアトラクションを取ってあるからと、ジェットコースター風の乗り場を3つほど回る。どこの乗り場も、会場に入ると10m先を歩く息子夫婦の後を一歩一歩進む俺の後ろは、見る間に渋滞。俺なんか追い越していけばいいよと左側を歩くんだが、誰も俺を追い越していかない。
「どこでも俺が前を歩くと渋滞だなー」
の答えに、
「僕等だって父さんみたいな人が前にいたら追い越せませんよ」
と息子夫婦も笑っている。何に乗っても首のむち打ち症が気になって、俺の手は首をガードポジション。何一つ面白くも楽しくもねぇのが本音。その上でっかい会場のコンクリートの上を、痛みをこらえて歩く。
俺にとっての試練・困難・いじめの一日は終わった。足は完全にやられていた。
「俺明日は一人で先に帰らしてもらうよ」
とベッドに倒れ込む。
道場愛はもちろんのこと、「家族愛」もかなり深い俺だから(笑)、家族のためなら足の骨一本や二本折れようが、やる時はやっちゃる、なんてことはない。だって俺の左はとうに折れてんだから、今さらそんなかっこいいセリフははけやしねぇ(笑)。
あくる日も、家族の笑顔に連れられてモノレールに乗せられていた。今日は、ディズニーランドと来た。孫はミッキーマウスに写真を一緒に撮ってもらうために、長い列に並ぶ。そば等でベンチに座る俺は、己の講演会の後なんかで会場に来られたファンの方々が、長時間並んで下さってるのを思い出していた。「大変なこっちゃなー」
そこへ女房が車椅子を押して来た。
「これに乗って」
「誰が?…俺がか!?」
てぇしたことねぇのに大げさな。俺が車椅子。それもだよ、正月より来場者が多いというハロウィンの日に、恥ずかしいじゃねぇの・・・・・。来場者は子供を中心に、仮装をしている人を多く見掛ける。俺の悪戯心が少し沸いてきた。
ためしに車椅子に座る。ベンチより座り心地がいい。そして当然のごとくその車椅子は場内を動き出した。
目線、視線、動線が違う。何時も俺が通る事で道をよけてくれる人は多いんだが、この日は、明らかに車椅子に気づいて、大人も子供達も、道を開けてくれたり、譲ってくれる。人のやさしさに気付くし、自分が弱い立場に置かれたことも分かる。俺の動線が低いためか、歩き行く人達は俺の存在に気づかないが、ベンチに座っている人の前を通る時だけは、時折り俺の実体に目を止める人もいる。
「雀鬼?」
「まさかね」
[写真:290a]
お陰様でその一日、あれほどの人ごみの中で、一度も、誰にも、俺が俺であることを気づかれずに済んだ(笑)。
夕暮れがせまって来ると、自分の力で動かさぬ体は、一段と冷えが増す。このまんまじゃ風邪を引いてしまうということで、人ごみを避けて、自分の足で歩く。痛くとも、この方が血が戻って来て、ありがたい。
ということで、少し早目の車椅子という体験はさせて頂いたが、俺にとっちゃディズニーシーは、特に面白くも楽しくもない。ただ、ただ人の混雑と路の混雑さだけ。金払ってぇ痛い思いして、個人的に辛い長い二日間でした。
もう二度と行くことはないでしょう。雀鬼

さて、会長がディズニーシーで弱っているとの情報を聞きつけた町田のスタッフ"やべべ"が、「今なら2%の確立で獲れる!」(本人の弁そのまま)と、無謀な闘いを挑む!
[写真:288a]
もちろん次の瞬間には、
[写真:288b]
ご愁傷様m(_ _)m
[写真:288]
もう完全に秋ですねえ…(笑)

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