■2006/05/28(日)
≪ Vol.140
今日びの若者達は、リスクを計りにかけちゃ、闘争心を失ってしまった。そんな社会体制の中に、突如として起き上がった闘争。下北本部の安田に対して町田道場の志村が、戦いの狼煙を上げ、抗争が始まった。
人は特権、権力、才能を持ち合わせた時に巨悪が生れる。雀鬼会という小さい世界では、安田選手部長の言動もそれにつきる。その悪行、悪政に対して一般市民、いや、道場生を代表して志村が立ち上がり、本部に内乱の火の粉が飛び、花岡や金村も目を覚ます。
外から志村、内から金村の手が伸びて今や安田は孤独に落ち入る。とうの昔に繰り広げられた骨肉の争いが勃発し、その闘争を俺は静観する。
ジョーン・ヘッドリンクの「愛と憎悪の対比」、エンタンティ・バッファの「罪の深さ」、アンドリューベースの「精神性欠如の時代」を正に彷彿とさせる感があり、俺自身、その現実の骨肉の争いの中に深い悩みを学び、感じる。
ある視点で捉えると、安田は最高峰のひらめきと知性を持ちあわせる芸術家。彼の生き様の方法や概念に、物理的な身体と心のうねりが見える。
その世界は安田が創り出した途方も無く離別した世界。志村のような常人が一歩そこへ踏み出せば、炎のごとく瞬間的に燃え尽きる他、なす術はない。そこには、ニングハブの「狂と常」が見え隠れする。
俺はたった一人、苦悩の虚無の地で起きてしまった闘争の炎が、燃え尽きるのを待つ他あるまい…。
雀鬼
[写真:140]
弟子達の骨肉を削る争いに、苦悩の表情を隠せない会長。願うのはいつだって「平和」だ……。
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