■2008/09/03(水)
 Vol.872
町田のノートに、9月2日付けで元朗が文章をのせている。
「別荘での理想的な生活が終わって帰り道、 人々の雑踏を見るとギャップを感じる。 昼は泳ぎ、夜は格闘技、 現代の物に囲まれる生活とは無縁の生活でした。
一日中体を使ってばかりなのに心地良い、 体調が日に日に良くなる。 別荘での生活は本当に楽しくて、 僕の人生の中で忘れられないものになりました。 皆んなと肌で触れ合い悪いところは修正してくれる。
こんな良い場所は他で探しても絶対見つからない。 5日の予定が15日も滞在出来たのも 皆様の援助があったからです、、、、。」
たった一人の少年がそれも半年前には 名すら知らなかった少年が、 別荘生活の中でこれほどまでも 多くのことを学び感じ取っている。
たった一人、少なくともいい、 俺は若者達が知らず知らずのうちに こんな体験が出来ればいいと思っている。
別荘は一年を通して道場を守ってくれている、 道場生の為の場でもある。 が、それ以外にも自然とふれあうことで、 社会の構図の違和感を分かればいい。
チャッペや花岡も毎日いた。 しげるも道場と同じような大切さを持っていた。 シャボや何人かの若者達はまっことの明るさ、 元気の良い格好良い姿を自然に見せていた。
19才の元朗の楽しみ、変化に、 意味を見つけられないような大人にはなりたかない。 物に囲まれた生活の中の少年がそれを忘れて、 一日中、自分の身体を使う、 それでも意味がねえなんていう大人達の方がおかしいんだ。
ある日、夜遅く、若者達が作る環境の中に、 二匹の妖怪が現れる。 俺にとっちゃ、 そちら側から漂わせる強烈な妖気や妖術にも、 屁でもなくはね返せる。
ところがそこにいたシャボや元朗達には、 異様な存在に敏感に反応して妖術にかかるまいと、 さあーっと身を隠したり引いたりする。 当然である。 人間の姿こそしているが、 この世のものでないことぐらい誰だってわかる。
そこに深夜、今川が夜道を飛ばして駆けつける。 今川、二匹の妖怪を見て目を丸くする(笑)。
一線を引きながらも 同性の姿をした妖怪の術の強さを計っている。 シャボや元朗達はいいが、 今川はその後、妖怪が棲む部屋で、 一夜をまんじりとして過ごさなきゃならなかった。
今川の背後に、二匹の妖怪の姿がダブって見えて、 元朗にはその分離が出来なくなっていた。
「俺は知っている。」「雀鬼は見たんだ。」
元朗の心ん中に、 あの時の二匹の魔物がとりついて見えちゃったんだよな。
分かったか今川、 そういうことだったんだよ。
雀鬼

[写真:872]
都会で頭で考える正しい正しくない、出来る出来ないなんてことが、いかにどうでもいいことか。向かう方向は身体が知っているし、自然が教えてくれます。

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