■2008/06/27(金)
 Vol.809
体重は100Kgを越えて、身長も190cmぐらいのでっかい大男が試合中に訪ねて来た。こちとら本戦中ということで声も掛けない。大男は隅のイスに座ってしばし待つ。
[写真:809]
「久し振りです」
と、くだらん手土産をいくつか持って立ち上がる。大男が生まれたばかりの女の子の写真を
「可愛いでしょ」
と、見せてくれる。
「何じゃコレ、たいがいの赤子は猿に似て生まれて来るんだが、こりゃブタ子だな」
赤ん坊なのに、もうすでに大人クラスのしっかりとした鼻が真ん中に控えている。
大男の職業は、リングの上。一年を通して日本中で試合をし走り回っている。
この一週間、俺の体調は薬だより。弱ってふらふら過ごしていた。
それなのに、あぁーそれなのに、大男に向かって
「ちょっと来い」
と、手を合わせる。
毎日毎日、筋トレばっかりやっている大男に筋トレで身につけた馬力で身体を動かさす。大男、力を入れた分すぐに大つぶの汗を流し出す。
「何じゃそれ、こういう風に動いてみろ」
と、感覚を教えると、大男から受ける力が変化して少しの力で大きな力が加わってくる。
「会長、暮れに総合の試合をしたいんですけど」
「おめえ弱ぇからなー」
と、毎日リングで闘っている大男に向かって、麻雀牌しか重い物を持たない爺さんがほざく(笑)
リングで闘う専門家の大男が
「ここに来ると一番勉強になっちゃうんです」
と、そばのテーブルに座って今教わったことを絵図にしたり、文字にしている。
ここは雀荘、相手は格闘家。おもしろい光景である。
「ちょいと立て」
次が始まる。
でっかい大男がひょいと右手を添えるだけで雀卓に向かってぶっ倒れていく。俺は楽しいが大男は不思議そう(笑)
「これって自分でも出来ますか?」
「技術みたいに出来るもんもありゃ、その場の状態でしか分かんねぇものもあるんだ」
「ハイ次」
「新しいことが次から次へなんでとても頭じゃ覚えきれません」
と、メモを取る。
「頭で習ってるんじゃねぇ。身体で習えるもんなんだ」
俺の体調は最悪だったのに、深夜遅くまで道場の板の間の上で身体を使った遊びをしてしまう。
正直言って、俺の身体なんてあっちこっちガタガタ。それなのに、あぁーそれなのにそれなのに、俺って海へ潜ってサメを追うか、身体と身体だけで動く時が一番好きなんです。
この日は大男が相手ということで、道場生でも100kg級の歌田とか重量級の金にも練習生となってもらい、少しだが痛い思いをさせちゃった(笑)
なんも習ったことがない俺。それもボロボロの年寄りが、学生時代からその道を習い、現役で活躍している名のある選手をつかまえて
「おめえ、本当に弱えよ。今まで何やって来たん」
なんて、身体を合わせながら言っちゃう俺ってやっぱ変人なんですかね(笑)
雀鬼

[写真:809-2]

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