■2007/12/22(土)
 Vol.664
石畳から手を伸ばす。冷たい雨が手をさす。
熱血ライターの神山さんから頂いた「伝説の雀鬼」のネーム入りの、世界に一本しかない傘を差して出かける。
家人から俺の背に、
「雪になりそうですよ」
外を歩く人もポケットに手を入れ、暖を取っている。冬々しい光景を確かめながら電車に乗る。車中の三人掛けの席に、年老いた男性と女子高生等が座っているが、俺がそこに座るには少々狭苦しそう。
下から声が掛かる。
「座ったらどうですか?」
老人が左側に身を縮めてくれていた。二駅だったが、
「ありがとうございます」
としっかり礼を答えて、老人の温っかさに即座らせていただく。たったこれだけだったが、冷たい肌と世知辛い社会に心が温まる。降りる時にもしっかりと、
「ありがとうございました」
と頭を下げる。老人も少し笑って、少しだけ頭を下げてくださる。
乗り降りは雨のせいか混雑していた。黒い塊が、アメフトかラグビー選手のように突っ込んで来た。瞬間に身をかわす。50歳ぐらいの身なりの良い女性が曲者だった(笑)
降りる人、乗ってくる人を押し分けて突入してくる。身なりも体格も確かに俺よりか良いのだが(笑)とんでもねぇ割り込みの女性である。
改札口も込み合っていた。出口で俺より少し遅れていた若者に先を譲る。彼の後ろ姿は、先ほど俺に席を作って下さったお年寄りの方と変わらぬ。それほどの身なりではなかったが若い青年も笑って頭を下げてくれていた。
身なりの良し悪し。男と女。気分の良いこと、とんでもねぇこと。
でもね、2勝1敗で老若の男性から受けた、気分の良さの勝ちでした。
雀鬼

[写真:664]

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