■2006/11/11(土)
 Vol.306
いつもの様に深夜の帰宅、外ドアを開けて木々の間にある、踏み石を通って内側の木造の引き戸の前に立つ。
引き戸の真ん中にスイッチョンが留まっていた。只今と声を掛けるが、眠っているのか返事がない。起こしても可愛そうだから静かに引き戸を空ける。おやすみと声を掛けて暖かな部屋へ入る。
それから数日経って、夕刻に仕事に出る前に玄関に送りに出てきてくれた孫を抱いて玄関口に出る。薄暗くなった庭の草むらから鈴虫の声が聞こえる。
秋の虫の声を初めて聞いた孫は薄暗い庭に目を凝らす。鈴虫はそれを感じてか、久し鳴いてくれて静けさを取り戻す。秋も深まってきて、すぐに今年一番の木枯らしも吹いたという。
又、寒い冬がそこまでやって来ている。孫と別れて外道を歩く、夕暮れが濃くなった。
薄暗いビルの片隅に、十代半ばの少女が膝を抱えて下を向いて座っている。何時から座っているのか、体に寒さが見える。数少ない友達とけんかでもしたのか、帰りにくい家があるのか、その少女は俺の通ることにも関心を示さず、そのまんま型を崩さず、じっとしていた。
雀鬼

[写真:306]

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