■2006/08/20(日)
≪ Vol.216
ということで、道場に平和な日々が戻ったところで、「ユーミン命」と、彼女の生き様に全てかけて生きているS君に連れられて、国立代々木競技場へユーミンのコンサートへ行ってやった。
S君にとってはユーミンは尊師以上の存在で、日本中はおろか世界まで彼女を追いかけて行く。俺にとってのユーミンとは、その方の本名も知らず、顔も知らねば、彼女の歌う歌の一曲すら聞いた覚えがないが、S君がそれほどまでに狂い愛しむ存在を一度確かめてみるのもいいかなーと、重たい足を引きずって会場へ向かう。
S君はユーミンさんのコンサート最終日とかで乗りに乗って、ヘヤーも紫色に染めてのユーミンカットで、ユーミンの好むブランド品の女性ものの衣装をまとい、真っ赤な大きめなルイヴィトンバッグをかかえて、勝負色を目一杯表す。
俺が俺がですよ。こういう姿かっこうのS君と街中を歩く。トホホのホって感じ。仕方がねぇこったです。
別に人様に悪どいことをしているつもりはないんですが、強いていえば、これほど変な取り合わせも御座いませんでした。
世界のアーティスト10に選ばれた俺なんですが、正直歌っつうもんは、一年に一回も聞かないいわゆる「音痴」。全く興味がわかないんですよね。俺ん中で歌とかおどりとかいうものは、自ら積極的に、しゃべり動ければ、それが歌でもあり、踊りでもあると思っているから、それで済んでいる。
コンサートといえば、40年振りか。あのビートルズを武道館に見に行った以来。あん時もビートルズの生の姿はあったけど、彼等の音楽を何一つ感じ取れなかった思い出がある。
俺ん中での「歌」は、十代中端の頃、毎週一回ラジオから流れ出るユーアヒットパレードだか何だったか、洋もの音楽のベスト10を楽しんだ。プレスリーとかポールアンカとか、ニールセダカとかエデンの東とか誇り高き男とか、映画のテーマソングが好きだったなー。
それが何時の日からプツンと消えちゃって今に至る。
音楽という長い長いトンネルを越すと、そこにユーミンがいた(笑)。
ライブっていえば今俺ん中には、総合格闘技、プライドのリング一本。そこのリングに、ヒョードルやシウバやノゲイラやミルコの、洋もの外国ものの男の凄さ、強さを見られることが最高なんだが、それが女性の方、それも歌。そこに、S君の魔力に引きずられるように、恐いもの見たさに行っちまう(笑)。
行く前に見たS君の姿だけでも、十分危ないんですけどねぇ。
席は一番前の真ん中に近かった。ユーミンファンにとっちゃプラチナチケット以上ものなんだろうが、そこに、悪いけんど単なる年老いた邪魔っけの石コロが座ってしまっている。
始めから終わりまで、ユーミンさんが歌って下さる歌は、私には一曲すら聞き覚えはないし、音に消されて、彼女が歌う歌の詩すら分からなかったが、ユーミンたった一人で何万人もの人達を引きつける、音の凄まじさだけは感じた。
彼女の曲は分からなかったが、客層の中に、引っ込んだ者達の生命の確認の姿や、性の淘汰された臭いを感じ取る。
音は人々を救っているのか?音は人々を狂わしているのか?
多種多様の息吹や生命を感じ取った。
ユーミンと同じ髪型にセットして来たS君の勝負髪は、何時しか、ユーミンから離れちまって、俺の知る林家三平師匠の髪型に変わってしまっているのがおかしかった(笑)
S君にとっては幼少の頃から今に至って、これからの人生も、ユーミンは命なんだろうけど、俺にとっては、S君を通したことで、ユーミンが林家三平に重なっちまったことで、最高の席を準備してくれたS君並びに、全国のユーミンファンの方々には申し訳ありませんでした。二度と会場には行くことはないでしょうからお許し下さいね。
ユーミンの歌の方は分かりませんでしたが、彼女の体の動きの中の間合いの取り方や呼吸法の素晴らしさ、重心がぴしっと決まっていて、ぶれがない姿の美しさは、充分素晴らしいアーティストとして受け止めました。
S君、音楽狂いも結構だが、今度は君が、大自然の息吹を感じる番だよ。
雀鬼
[写真:216]
雀鬼会のユーミン・I女史…(^_^;)
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